なぜ私の情熱は消えたのか? SEが『仕事がつまらない』と感じる本当の理由

「最近、仕事がつまらないと感じていませんか? かつては、プログラムの続きを書きたくて、早く会社に行きたい!と心躍らせた日々があった私も、いつしかその情熱がどこかへ消え、毎日が『つまらない』と感じるようになりました。」

私と同じように毎日が『つまらない』って感じるようになっていませんか?

技術を追求し、ものづくりに没頭する喜びを感じていた日々は、もう遠い過去のように感じませんか?

今、あなたが「仕事がつまらない」と感じているなら、その漠然とした感情は決してあなた一人だけのものではありません。

私がなぜこの状態になぜなってしまったのか、この記事では、その「なぜ情熱が消えたのか」というSE特有の、そして意外な本当の理由を深掘りしていこうと思います。

目次

1.情熱を蝕む「3つの現実」:SEが直面するキャリアの落とし穴

現実1:『技術者』から『交渉人』への変貌と、技術力の停滞

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私がシステムエンジニアの仕事を始めたのは1998年4月。もちろん最初はまったくの素人なので、新人研修でプログラミング(C言語)を勉強し、一時期はプログラムを1万step組んだりしていたこともありました。

プログラム言語だけではなく、OracleやDB2などのDBを学び、SQLのパフォーマンス・チューニングを行ったり、それ以外にも最前線で技術に触れることが多く、それを使ってプロジェクトを成功させることが楽しかったのを覚えています。

それが年次を重ねるとメンバーからサブリーダー、サブリーダーからリーダーへと立場が変わり、少しづつ仕事内容が変わっていきました。

最初のうちは、リーダー業務をしながらもプログラミングを実施できたり、少なくとも設計には携わっていたので、プロジェクト内で技術スキルを使って仕事をしている実感がありました。

それが、配下のメンバーが増え、リーダーという役職のままでもやっていることがPM(プロジェクトマネージャー)のような立ち位置になった時、プログラミングや設計をやろうとすると止められる現実が現れました。

技術に触れることが減り、むしろ新しい技術を学ぶ機会が失われていくことに、静かな焦りを感じ始めました。しかし、技術に触れたいという私の気持ちとは裏腹に、現場ではそれを許されない現実があったのです。

やろうとするとメンバーが、これは私がやります、あなたはそういうことをする立場ではないので、と言われてしまいました。

その言葉は、まるで長年磨いてきた技術者としてのアイデンティティを否定されるようで、深い喪失感を覚えました。

結果、私の立場としては、仕事は受注して、プロジェクトを運営していかないといけないことは変わらないので顧客との折衝やプロジェクトの売上/利益の管理、要員の入替やPCの管理といった技術には程遠い仕事ばかりをすることに。

長年技術を追求してきた私にとって、営業的な顧客折衝や数字管理は、自身の強みとは異なる畑違いの業務でした。技術で課題を解決することに喜びを感じてきた私には、そのスキルを活かせない現状が、さらなる閉塞感を生みました。

こうして、技術から離れることで仕事がどんどんつまらなくなっていきましたが、さらに私の情熱を奪っていったのは、頑張りが正当に評価されないという、もう一つの現実でした。

現実2:『頑張り』が『成果』に直結しない評価の不透明さ

私がSEとして情熱を失った二つ目の理由は、『頑張り』が『成果』に直結しない、評価の不透明さでした。

システムエンジニアをやっていて、『評価されない』ということがモチベーションや自己肯定感に影響を与えているのではないかと感じています。

SEの頑張りといえば、コードの品質、設計の緻密さ、テストの網羅性、トラブル対応の迅速さ、プロジェクトの円滑な進行など、目に見えにくく、数値化しにくい部分に宿ることが多いものです。

しかし、会社、特に経営層や営業部門が求める『成果』は、売上、利益、新規顧客獲得といった、直接的で数値化しやすいものに偏りがちです。この『頑張り』と『成果』の定義のズレこそが、SEが『評価されない』と感じる根本原因だと私は考えています。

昨年度、数字としては達成しましたが、その仕事を取ってきたのは、顧客との繋がりが強い上司で、自分たちが直接仕事を取ってくる機会は奪われているような状況です。

そして、取ってこられた仕事に対して、管理・運営だけが任されて、運営するものの、直接的に売上を上げたわけではないので、評価されない。評価されるのは上司と感じました。

昨年度、プロジェクトの売上を達成できても、評価が上がらず、評価に対するベースアップは0でした。

この評価は昨年末から今年3月にかけて、このつまらなさのために転職活動をして、そのことが上司に伝わったことによるものと考えられますが、根本的にはこの評価のされ方が頑張っても評価が上がらない原因だと思います。

今年度も仕事は取りにいこうとしましたが、お客様の事情からあまりぱっとした成果は出せなそうで、結果、また上司が別のところから仕事を引っ張ってくるような流れになっています。

ということは、このまま頑張っても成果としては認められず、評価も上がらず、給与も上がらずというのが見えてしまい、虚しさ、徒労感、無力感を感じてしまって、『つまらない』というのを抱えたまま、日々の仕事をしていくことになると感じています。

このことは、『どれだけ頑張っても、会社の求める最重要指標(売上)に直接関与できない限り、評価は頭打ちになる』というSE業界にありがちな構造的な問題があると感じざるを得ませんでした。

この『報われない努力』が続くと、人はどうなるでしょうか? 私の場合、次第に虚しさや徒労感が募っていきました。『一体、誰のために、何のために、他人より残業してまで頑張っているのだろう?』そんな問いが頭をよぎるようになり、やがては自分のスキルや存在意義まで否定されているような感覚に陥っていきました。

評価基準が曖昧で、何をどう頑張れば認められるのかが分からない。この不透明さが、私のSEとしての情熱を、静かに、しかし確実に蝕んでいったのです。

そして、この技術者としての不満や評価への不信感に加え、SEという仕事には、さらに目に見えない、しかし確実に心身を削るようなプレッシャーが常に存在していました。それは、私の情熱を完全に消し去る、最後の決定打となったのです。

現実3:目に見えないプレッシャーが、心身を疲弊させる

SEの仕事は、表面的な業務量や成果の不透明さだけではありません。常に「目に見えないプレッシャー」がつきまといます。それは、絶え間なく押し寄せる情報過多、短時間での頻繁な思考の切り替え(コンテキストスイッチ)、そして「絶対にシステムを止めてはならない」「失敗は許されない」という見えない重圧です。

このようなプレッシャーは、SEであれば誰もが多かれ少なかれ感じるものでしょう。しかし、私の場合、**人一倍繊細な気質(HSP)**であるという特性が、これらのプレッシャーをさらに増幅させ、心身を深く疲弊させる原因となりました。

HSPは、五感からの情報や他者の感情、場の雰囲気などを深く、詳細に処理してしまう特性があります。そのため、会議でのちょっとした発言の裏にある意図や、顧客の漠然とした不満、チーム内の微妙な空気まで敏感に察知し、深く考えてしまうのです。常に脳がフル稼働しているような状態で、些細なノイズや予期せぬ割り込み一つで集中力が途切れ、人一倍疲労を感じやすくなりました。

結果として、身体は鉛のように重く、原因不明のお腹の不調や睡眠の質の低下(中途覚醒)に悩まされるようになりました。お風呂で寝落ちしそうになるほどの疲労困憊は日常茶飯事。精神的にも、新しい技術を学ぶ気力すら湧かず、趣味を楽しむ余裕もなくなり、何をやっても楽しくないと感じるようになりました。

かつては情熱を燃やした技術への好奇心や、ものづくりへの喜びは、この目に見えないプレッシャーと心身の疲弊によって、いつの間にか完全に消え失せてしまったのです。

2.「つまらない」を認める勇気:情熱再生の第一歩

ここまで、SEとして私が情熱を失っていった理由を具体的に見てきました。もしかしたら、この記事を読みながら、「まさに自分のことだ」と共感し、同時に「こんな状況で、自分は本当にこのままでいいのだろうか」と、漠然とした不安を感じているかもしれません。

しかし、安心してください。「仕事がつまらない」と感じるのは、決してあなたが怠けているわけでも、能力がないわけでもありません。

むしろ、それはあなたの心が、今の環境や働き方ではもう満たされていないという、あなた自身からの大切なSOSなのです。SEとして技術を追求したいのに、顧客折衝や管理業務ばかりに追われる。どれだけ頑張っても、会社の求める「売上」という成果に直接結びつかず、正当に評価されない。そして、目に見えないプレッシャーに心身が疲弊していく――。

これらの「現実」は、あなたが本当に何を求めているのか、何に価値を感じるのかを教えてくれる「羅針盤」のようなものです。まずは、その「つまらない」という感情を、無理に打ち消そうとせず、「そう感じているんだな」と受け入れることから始めてみませんか?自分を責める必要は、一切ありません。

特に、私のようにHSPの気質を持つ方は、周囲の期待や評価に敏感で、自分を責めやすい傾向があるかもしれません。「もっと頑張らなければ」「自分が悪いのではないか」と、無理に自分を追い込んでしまうこともあるでしょう。だからこそ、この「つまらない」という感情を認め、自分を「許す」ことが、HSPのあなたにとって、何よりも大切な「情熱再生の第一歩」になります。

いきなり転職や副業に踏み出す必要はありません。まずは、なぜ自分が「つまらない」と感じるのか、このブログ記事を読みながら、ご自身の心と向き合う時間を作ってみることから始めてみませんか?その小さな一歩が、きっとあなたらしい情熱を取り戻すきっかけになるはずです。

3.情熱を「別の場所」で再点火する戦略的アプローチ

ここまで、SEとして私が情熱を失っていった3つの現実についてお話ししてきました。もしかしたら、あなたも「まさに自分のことだ」と思い、同時に「このままではいけない、でもどうすれば…」と、漠然とした不安を感じているかもしれません。

しかし、安心してください。その「つまらない」という感情を認め、自分を許すことができたなら、次のステップへ進む準備はすでに整っています。この「つまらない」という感情は、あなたにとって本当に大切なものが何かを教えてくれる、いわば「未来への羅針盤」なのです。

この状況で、特に何もしないという現状維持は、一見安全に見えて、実は最も大きなリスクです。心身を疲弊させ、大切な人生の時間を消耗し続けることになります。私は、この負のスパイラルを断ち切るために、情熱を「別の場所」で再点火する戦略的なアプローチを採ることを決意しました。

それは、決して「会社を辞める」という単純な話ではありません。私自身も直近で転職活動を経験しましたは、根本的な解決には至りませんでした。

そのための、具体的な「思考」と「行動」のステップをここからお話します。

自己分析:情熱の源泉を再発見する

情熱を再点火する第一歩は、自分自身を深く見つめ直すことです。なぜ、かつてはあったはずのSEとしての情熱が消えてしまったのか。その原因となった「3つの現実」は、同時に私に大切なことを教えてくれました。

何に喜びを感じていたのか?

私は、プログラムを書き、設計に没頭し、技術で課題を解決することに心から喜びを感じていました。顧客との折衝や数字管理は、私の強みとは異なる畑違いの業務だったのです。

どのような環境なら情熱を燃やせるのか?

技術に集中できる環境、自分の頑張りが正当に評価される環境、そして何よりも、心身への過度なプレッシャーがない環境です。

私のようにHSPの気質を持つ方は、周囲の期待や評価に敏感で、ストレスを深く処理してしまいがちです。 だからこそ、「どんな環境が自分にとって心地よく、力を最大限に発揮できるのか」を明確にすることが、情熱を再点火する上で不可欠でした。

自分の強み(データベース技術、プロジェクト管理経験、HSP由来の共感力や深く考える力)を再認識し、それが「別の場所」でどう活かせるかを考え始めました。

この自己分析は、あなたが本当に何を求めているのか、そしてあなたの「強み」がどこにあるのかを明確にするための、最も重要なステップです。

スキルアップへの戦略的投資:未来を切り拓く武器を磨く

情熱の源泉が見えてきたら、次はそれを形にするための「武器」を磨く段階です。私にとって、それはデータベーススペシャリスト試験への再挑戦でした。

資格取得は単なる紙切れではありません。それは、私の技術への情熱を再点火し、キャリアの選択肢を広げるための、戦略的な自己投資だと捉えました。

「学び方」をアップデートする

以前の失敗から学び、「分かったつもり」を卒業するためのアウトプット重視の学習法を徹底しました。解説動画を見るだけでなく、「動画を止めて自分で考える」「AIを壁打ち相手に思考を整理する」「自分の言葉で説明する」といった能動的な学習を取り入れました。

特に、複雑な午後問題の「問題文の解体術」を磨き、色ペンや図解で情報を整理する習慣をつけました。これは、読解力と正確性を飛躍的に高める上で不可欠と感じました。

「無理なく継続」するためのスケジュール戦略

社会人として限られた時間の中で、いかに効率的に学習を継続するか。私は、「毎日コツコツ」をモットーに、平日は朝活や昼休み、通勤電車といったスキマ時間を活用し、休日はまとまった時間で深く集中するスタイルを確立しました。

そして何よりも、体調とメンタル管理を最優先しました。質の良い睡眠(仮眠の活用も含む)、適度な運動(ジムでのルーティン)、そしてHSP気質を考慮したストレス対策を意識的に取り入れています。計画通りいかなくても自分を責めず、柔軟に調整する勇気を持つことが、継続の鍵です。

このスキルアップへの戦略的投資は、私の市場価値を高めるだけでなく、学習を通じて得られる達成感が、失われた情熱を少しずつ取り戻してくれると信じています。

「副業」という選択肢:情熱を試す「実験場」と「新たな収入源」

スキルアップと並行して、私が目を向けたのが「副業」という選択肢です。本業で情熱を失った私にとって、副業はまさに「情熱を試す実験場」であり、同時に「新たな収入源」を築くための重要な手段だと考えています。

副業の多角的メリット
  • リスクヘッジ: 本業を辞めずに、本当にやりたいことや興味のある分野を試せる。
  • 経済的自立: 本業の評価や給与に依存しない、新たな経済的基盤を築ける。
  • 自己肯定感の向上: 本業では得られない達成感や、自分のスキルが直接的に誰かの役に立つ喜びを感じられる。
私の副業構想:SE向けカウンセリング・キャリア相談
  • 私が現在構想し、ブログをその第一歩として取り組んでいるのは、SE向けのキャリアカウンセリングや相談業です。
  • これまでのSEとしての豊富な経験、そしてHSP気質からくる共感力や深く考える力が、同じ悩みを抱えるSEの方々の力になれると確信しています。
  • 「仕事がつまらない」「キャリアに悩んでいる」「HSP気質で働きづらい」といった、かつての私と同じような悩みを抱えるSEの方々に、私の経験と学びを還元したいと考えています。

副業は、情熱を本業とは別の場所で育み、新たな可能性を広げる強力なツールとなり得ます。私もまだその第一歩を踏み出したばかりですが、この挑戦自体が、私に新たな情熱を与えてくれています。

まとめ:情熱の形は、一つじゃない

情熱は、決して会社や与えられた仕事の中だけで見つけるものではありません。そして、一度失ったように見えても、それは完全に消え去ったわけではないのです。

「仕事がつまらない」という感情は、あなたが本当に輝ける場所、本当に情熱を燃やせる場所が他にあることを教えてくれるサインです。

私のように、自己分析を通じて情熱の源泉を再発見し、戦略的なスキルアップに投資し、そして副業という新たな挑戦の場を見つけることで、情熱は「別の場所」で、あるいは「別の形」で、何度でも再点火できるのです。

この記事が、あなたが自分らしい情熱を再点火するための、ささやかなヒントや手助けになれば幸いです。

この記事を書いた人
たなやん
  • システムエンジニア歴20年以上
  • 2年でうつ病を完全寛解
  • 現在はうつ病以前よりメンタルを楽に仕事に従事中
  • HSP気質を持つもそれも力に!
  • 心理学系講座講師

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