50代から始める、DBスペシャリストへの道

私はシステム開発に長年携わってきた、50代のベテランSEです。
元々勉強が大嫌いだったこともあり、仕事ができれば資格なんていらない!と自分に言い訳をしつつ、会社から言われて受験して落ちるということを繰り返していました。
それで半ば諦めていたのですが、同僚が同じように資格試験を受けていて、昨年応用情報処理試験を合格したところ気持ちが変わりました。
会社では、当然のことかもしれませんが、評価などにも情報処理資格を持っていることは加味されます。
それでも今までそれなりの評価を得たこともあったので、苦手なのだから落ちても仕方がないと自分に言い聞かせて、周りにはもう受けない!と言って逃げていました。
しかし、50代を迎え、SEとして、このままでいいのか?資格試験(データベーススペシャリスト(DBスペシャリスト))の一つも持っていないことに、ふと将来への漠然とした不安に駆られました。
「このままで定年まで、評価されないまま、かつSEとして通用していくのだろうか?」
そんなとき、今まで不合格を繰り返していたDBスペシャリスト試験への本気の挑戦を決意しました。
この資格は、高度な知識と論理的な思考力が求められる難関試験です。これを取得できれば、技術者としての価値を再証明できると考えました。他の記事でも書いていることなので、細かくはこれ以上書きませんが、一念発起して勉強を始めたのは本当です。
それで、継続して勉強はしていたものの、午後問題を夏季休暇を最大限に活用し、短期間で集中して攻略し、合格に向けてはずみをつける!
そんな計画を立て、試験勉強に挑み始めました。
50代SEが挑むDBスペシャリスト試験の模擬試験で叩きつけられた厳しい現実

夏季休暇に入り、意気揚々と挑んだのが、studyingの直前対策模試でした。
これまでの学習で、いくらか手応えを感じていたこともあり、合格への自信を胸に秘めていました。
特に苦戦したのは、以下のような問題でした。
しかし、結果は想像を絶するものでした。
午後1の模擬試験(午後1は3問中2問解いて90分で100点満点で60点で合格ですが、模擬試験なのでそのうち1問を解いています。)、50点満点中、わずか22点(正答率44%)。
先日過去問で70%程度取れて感じた手応えは、あっという間に打ち砕かれました。
特に、午後2でも必須でできなければいけない「論理設計」の問題で大敗を喫しました。
この結果は、私に大きなショックを与え、一時は心が折れかけました。
「50代では難しいのかもしれない。知識はあるつもりでも、実は理解できていなかったのかもしれない。勉強が苦手な自分には無理なのかもしれない。」
そんなネガティブな感情が頭の中を駆け巡りました。
惨敗から見えたDBスペシャリスト合格のための3つの課題

以前ならきっとこの時点で諦めていたと思います。しかし、今回はstudyingにもお金を出している、今後の給与にも影響があるというところで、私はそこで立ち止まりませんでした。
悔しさをバネに、なぜ敗れたのかを徹底的に分析しました。すると、今回の敗北が「知識がない」ことではなく、「知識を使いこなせていない」ことに起因していることが見えてきました。
具体的には、以下の3つの課題が浮き彫りになりました。
1. 知識のインプットから「アウトプット」への壁
「再編成」や「バッチジョブの多重化」など、知識は頭の中にありました。しかし、それを「30字で記述する」という試験形式に合わせた文章としてアウトプットできない。
これは、単に知識を暗記しているだけで、その本質的な意味や、どのような状況で使われるのかを深く理解していなかった証拠でした。
2. 知識の「曖昧さ」が招くケアレスミス
SQLの問題では、共通テーブル式(WITH句)や分析関数(LAG/LEAD)の知識が曖昧でした。
例えば、「一つ前の商品の」というヒントを見つけたにもかかわらず、LAG
ではなくLEAD
と書いてしまったり、WITH
句内で必要な項目をすべて列挙しなければならないというルールを忘れていたり。
こうした小さなケアレスミスが積み重なり、得点を大きく落としました。
3.問題の「パターン」と向き合う
今回の模試では、今まで過去問で見たことのない「特殊なルール」が提示されました。
概念データモデルで「マスタ領域とトランザクション領域しか繋いではいけない」といった制約です。
今まで解いてきた過去問にはなかったパターンだったので、この点を完全に読み損ね、普通にトランザクション領域内でリレーションの線を引いていました。
これもアウトプットを目的とした勉強をせず、過去問を解くのもインプットとしての勉強をしていたからだと思います。
しかし、これは「問題文の情報を正確に読み取る力」を試すための、試験特有のパターンでした。
DBスペシャリスト試験の敗北を乗り越えるための戦略

敗因を冷静に分析したことで、私はもう一度立ち上がる勇気を得ました。そして、合格への道を再構築しました。
1. 無謀な計画を捨てる
当初、アウトプットを頑張る!と「今週中に5年分の過去問をやりきる」という無謀な計画を立てていました。
それくらいやらないと、合格なんて夢のまた夢だと思い、夏季休暇を全振りするようなこの計画をやらないとダメだと思っていました。
しかし、その計画をAIと相談したところ、このまま実施すると、疲労と焦りだけが募り、挫折する可能性もある、これをやろうとすると、
午後1を5年分(×1年分で3問)=15問+午後2を5年分(×1年分1問)=5問
午後1は2問で90分なので単純計算で1問45分で計算すると45分×15問で675分=11時間15分
午後2は1問で120分なので、5問で600分=10時間
合計で21時間15分で問題を解くだけでも5時間かかり、それの答え合わせと分析を加えると、、、
無理でしょ!とAIに言われ、そりゃそうだと思い直し、「質を上げる」ことに焦点を当て、「9月末までに過去5年分を解き終える」という、より現実的な計画に修正しました。
ついつい、昔の癖で時間数、問題数をこなせばいいという勉強法に戻ってしまいそうになるのですが、AIと会話しながら、なんとか踏みとどまっています。
AI様々な今日この頃です。
2. 徹底的な「復習」と「アウトプット」
これからは、問題を解く時間よりも、復習に時間をかけることを最優先にします。
記述問題は、とりあえず解いて模範解答を丸暗記してわかったつもりになっていました。
それをやめて、「なぜこの文章になるのか」を深く分析し、自分で何度も文章を書いてみる練習を繰り返します。
文章を読んでの問題も結構同じようなパターンでの出題があるので、それぞれの答えの導き方をメモして、パターンを把握するようにしました。これをやることで他の問題でも応用が効くのではという作戦です。
SQLは曖昧だった知識を完璧に補完します。特に、SQL構文や分析関数の使い方をノートにまとめ、毎日見直します。
3. マインドセットの転換
最も重要なのは、マインドセットの転換です。
「完璧を目指さない」
午後1は全3問のうち2問を選んで解く形式で、90分以内に解答します。
難しい問題に時間をかけるのではなく、確実に点が取れる得意な問題を選ぶという戦略を立てます。
問題を解いていて気付いた私の癖は、60%取れれば良く、難しいから諦めていい問題もあるはずなのに、無理矢理にでも全問解答を埋めるようにやってました。
これが間違いの基で、難しい設問も諦めずに立ち止まり、時間をかけてしまっていました。そのせいで他の簡単な問題に手を出せずに時間ギリギリでそういう問題を解き始めてタイムアップになって、得点を下げるという悪循環に陥ってました。
これをやめるのが、実は結構難しくて、練習が必要でした。
ついつい全部解こうとしてしまうのです。思い返せば、学生時代のテストなどでも空欄で提出するべきではないという無意識の思い込みがあったので、どんなテストも空欄を意地でも作らずに提出していたと思います。
でも、そんなこと資格試験では不要なんですよね。60%で合格なのですから。
「失敗は成功のもと」
模試での失敗は、本番で同じミスをしないための貴重な「予行演習」だと捉え、悔しさを成長のエネルギーに変えます。
模試の時点でいくら失敗しても問題ないのです。だって不合格とかないから。
失敗したら、それは新しい問題のパターンに出会えたと思って復習し、自分の中に蓄積していけば合格に向かうと信じることにしたのです。
過去の受験時は、ここまでのマインドにいけませんでした。なぜなら、問題をただ時間をかけて、理解をしようとしないで解いていただけだから。そんな状態で、ゆっくり理解するなんてできなかったからです。
この点を反省しつつ、失敗を成功に変えるように今はマインドを変更途中です。
そして、合格へ

このブログ記事を執筆している今は、まだ試験本番まで時間があります。
私は、この「惨敗」から得た学びを胸に、これからも一歩ずつ前進していきます。
「知識の穴」を埋める。
「アウトプットの練習」を繰り返す。
そして、何よりも、「自分を信じること」。
今回の経験は、私に多くのことを教えてくれました。
同じように悩んでいる誰かの力になれたら嬉しいです。これからも、自分を信じて、諦めずに前に進みます。