50代SEが直面した「自分を責めすぎる罠」。メンタルをすり減らさないための思考法

システムエンジニアとして長年働いてきた中で、ふと振り返ると「なぜあんなに自分を追い詰めていたんだろう」と思う瞬間があります。

同じ職場で、同じような業務量をこなしている同僚であっても、心が折れてしまう人と、そうでない人がいるのはなぜでしょうか。

今回は、私自身が過去に経験した「過剰なプレッシャーによる心身の疲弊」を振り返りながら、知らず知らずのうちに自分を責めすぎてしまう原因と、その対策について紐解いていきたいと思います。

目次

シチュエーション別・「自分を責めてしまう」罠

システムエンジニアの現場では、予期せぬトラブルやプレッシャーが日常茶飯事です。HSP気質(繊細で敏感な気質)を持つ人は、そうした場面で「すべて自分の責任だ」と過剰に背負い込んでしまいやすい傾向があります。私が実際に経験した、自分を追い詰めてしまった5つのシチュエーションをご紹介します。

1. 新人時代のプログラムソースレビュー

自分で書いたコードを先輩に見せるソースレビューの場。当時はスピード重視で、他人のコードを流用しながら何とか形にしていました。 うまく仕組みを説明できず、先輩から「これくらいも分からないのか」と厳しく叱責されたとき、文系出身でITの基礎もままならなかった私は、「自分は同期に比べて圧倒的にダメな人間だ」と深く落ち込んでしまいました。

  • 現実: 単にその時点の知識や経験が足りておらず、復習して覚え直せばいいだけの話でした。反省を次の学習エネルギーに変えるならともかく、人格否定レベルまで自分を責める必要は全くありませんでした。

2. 経験のない仕事を「できる」と言ってしまった時

31歳の頃、十分な経験がないにもかかわらず「要件定義の担当」や「巨大システムの見積もり」を、断りきれずに引き受けてしまいました。当然レビューも不十分でプロジェクトは混乱し、お客様や他社のメンバーから向けられる冷ややかな空気を肌で感じ、「自分は本当に無能だ」と毎日が苦しかったのを覚えています。

  • 現実: 「経験がないのでお断りする」「誰かにサポートに入ってもらう」という選択肢もあったはずです。プレッシャーに押しつぶされ、思考停止で自分を責め続ける以外の防衛策が見えなくなっていました。

3. 月300時間超えの過重労働

心身のバランスを大きく崩してしまった当時の状況です。膨大な仕事を前に「他のメンバーに回せないから」と一人で抱え込み、後輩に手伝いを頼んでも断られるという八方塞がり。 これだけの作業量をこなせないのは自分のスキル不足なのだと思い込み、限界を超えてもなお自分を鞭打ち続けました。

  • 現実: 物理的にこなせる分量を超えている時点で、個人の努力でどうにかなる問題ではありません。この領域に達する前に、環境から離れるべきだったと痛感しています。

4. スケジュール遅延の巻き添え

調査業務のリーダーはお客様側でしたが、スケジュールが遅れていることすら現場の私たちには知らされていませんでした。 ある日突然、先方から「いつ終わるんだ」と厳しいメッセージが届く。一刻も早く報告したくても担当リーダーは連絡がつかない。焦った私は別担当への連絡などに走り回り、「自分の調査結果の出し方が遅かったからだ」と自分を責めてパニックに陥りました。

  • 現実: 自分のやれる範囲の仕事はきちんとこなしていました。情報の共有不足という組織的な課題を、個人の責任として背負う必要はなかったのです。

5. 契約系作業のトラブルと理不尽な対応

責任者として毎月作成していた契約確定資料に不備があり、お客様がお怒りだと連絡が入った。たまたま出社が遅れていたタイミングで、後輩からは何度も焦らせるメッセージが届く。 会社に駆けつけて冷静になってお客様と話してみると、そこまで致命的なミスではなく、すぐに修正して事なきを得ました。

  • 現実: ミス自体は反省すべきですが、現場にいない私が到着するまでの間、必要以上にパニックを煽るような状況まで自分が背負い込む必要はありませんでした。完璧主義と「自分が何とかしなければ」という過剰な責任感が、メンタルを大きく削っていった原因でした。

なぜ、ここまで自分を責めてしまうのか?

では、なぜ繊細な気質を持つ人は、これほどまでに自分を追い詰めてしまうのでしょうか。そこには大きく二つの理由があります。

1. 感受性が高い特性によるもの

HSPをはじめとする敏感な気質を持つ人は、自己肯定感が低く、自己否定に陥りやすい傾向があります。他者への配慮を優先するあまり、何かトラブルが起きたときは「自分が何か悪いことをしたのではないか」と真っ先に自分を疑ってしまいます。

また、周囲のちょっとした機微や不機嫌さを人一倍敏感に察知してしまうため、常に高いアンテナを張り続けてエネルギーを消耗し、余裕を失った結果として自分責めを加速させてしまうのです。

2. 過去の経験や環境による思い込み

育った環境やこれまでの挫折経験が、無意識に「自分はダメな人間だ」という前提を作っていることもあります。 私の場合は長男として過度な期待を感じながらも応えられず、ずっと学歴コンプレックスを抱えていました。

「自分は仕事ができない人間だから、起きた不都合はすべて自分のせいだ」という思い込みを持って社会に出てしまったことが、自分を責め続ける原点でした。

まとめ

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

私自身、年齢やキャリアを重ねるにつれて、「自分をそこまで卑下する必要はない」と気づき、仕事への自信も少しずつ持てるようになってきました。

仕事における心身の不調やメンタル負荷の引き金はさまざまですが、その大きな一つが今回紹介した「自分を責めすぎてしまうこと」にあります。もし今、かつての私と同じように、どんな小さなことでも自分のせいにして苦しんでいるなら、少しだけ立ち止まってみてください。

ほんの少し考え方や環境との境界線を変えるだけで、仕事の息苦しさは驚くほど軽くなるはずです。

この記事を書いた人

たなやん
  • システムエンジニア歴20年以上
  • 2年でうつ病を完全寛解
  • 現在はうつ病以前よりメンタルを楽に仕事に従事中
  • HSP気質を持つもそれも力に!
  • 心理学系講座講師

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