【50代SEの「不満」解消法】イライラを「リスク回避の型」に変える3つの思考ルーティン

目次

Part 1. 現実の「痛み」への共感

私達の20数年にわたる努力と経験は、正しく評価され、未来のシステムを設計するために使われているでしょうか?

おそらく、答えは「No」でしょう。(Yesとお答えの方は、素晴らしいことです!)

私はもちろん「No」なわけですが、日々の業務でイライラすることも多く、なぜなんだろうと考えました。

理由は、50代の私たちは皆、「頑張りが報われない負債」のような現実の壁にぶつかっているのでは?と思います。

この記事を読んでいただいているあなたは、本来であれば高付加価値な設計や知識の翻訳を行うべきベテランです。

しかし、現実はどうでしょうか?

  • 終わらない火消し役
    • 若手のフォロー、知識不足のメンバーへの説明、そしてプロジェクトの「火事」が起きるたびに駆けつける「火消し役」に時間を奪われている。
  • 低単価な監視と修正
    • 協力会社のスキル不足や、バッチ/シェルのような基礎技術の理解度不足による手戻りが多発していませんか。その結果、私達の貴重な時間が、「設計」ではなく「低単価な監視と修正」に消費されています。
    • 例えば私の経験ですが、特に難しいことを依頼したわけではないのに、やることを理解できていない人が作業を進めると遅れが発生し、それのリカバリに追われるというようなことです。
  • 「ググれば分かる」ことへのイライラ
    • かつて私達が苦労して築いた知識が「個人の暗黙知」に留まり、後進が「ググれば分かること」すら尋ねてくることに、うんざり。

このイライラは、私達の能力が低いからではありません。私達の20数年の努力と経験が、「知識の負債」となって組織に蓄積されているからです。

Part 2. 不満の正体の解明:知識の負債化

最近イライラしたり、やる気をなくすことが多くなった気がします。このイライラが、年齢からくるものなのかな?と思っていましたが、決して「老化している」ことや「疲れている」ことだけが原因ではなさそうだなと気づきました。

それは、20数年の努力が報われない「組織の構造的な問題」、すなわち「知識の負債」が原因ではないかと思います。

この記事を読んでいただいているあなたも、思い当たるところがありませんか?

知識はなぜ「負債」になるのか?

「知識の負債」とは、私達が苦労して身につけたノウハウが、「会社にリスクとコストを発生させる原因」になっている状態を指します。具体的には、私達の20数年で蓄えた知識は以下の2つの形で組織に損害を与えています。

1.【個人の暗黙知化によるリスク】

私達のノウハウが、「個人の暗黙知」として特定のメンバー(多くは私達自身)の中に留まっていませんか?

  • 知識が属人化するリスク
    • プロジェクトの中で共有されず、特定のエキスパートに引き出してもらうことでしか機能しない状態です。
  • 「致命的なリスク」の発生
    • 私達が万が一現場を離れると、知識が引き継げず、組織は同じ失敗を繰り返すことになります。これは、プロジェクトの品質や納期に直結するリスクです。

【検索不可な知識によるコスト増大】

私達の過去の成功や失敗のドキュメント、メモ、メールが、フォルダやファイル名に埋もれたままになっていませんか?

  • 時間泥棒の発生
    • 知識が整理されていないため、若手が「ググれば分かること」すら、私達に直接尋ねるしかありません。
  • 高単価な時間の浪費
    • 20数年の経験を持つ私達の「高単価な時間」が、「検索や手順のフォロー」という低単価な業務に浪費され、組織全体の生産性を妨げています。

結論:「負債」は50代SEの役割で解消できる

この「知識の負債」を解消し、「いつでも再利用可能な知識の資産」に変えることこそが、50代SEの新たな、そして最も価値の高い役割です。

Part 3. イライラを「リスク回避の型」に変える3つの思考ルーティン

「知識の負債」は、私達が50代SEの役割を「火消し役」から「システムの設計者(アーキテクト)」へと変革することで解消できます。

日々のイライラを、「個人の愚痴」から「組織のリスクを回避する仕組み」に変える、3つの思考ルーティンを解説します。

【内省の型】3分で思考を停止し、イライラを「知識のラベル」に変換する

  • 問題の焦点
    • イライラの多くは、「ググれば分かること」を尋ねられたり、協力会社の手戻りに直面したりした際に、「どこに答えがあるか分からない」という知識の整理不足から生じます。
  • 行動の型
    • 疑問や不満を感じたら、マウスから手を離し、たった3分間、思考を停止するルールを設けます。そして、以下の3つの問いにだけ答えます。
      • 「なぜ」やるのか? → ビジネス・交渉の型(Why/Value)
      • 「いつ・誰が」やるのか? → プロジェクト・管理の型(What/When)
      • 「どう」やるのか? → 技術・実行の型(How)
  • 効果
    • 3分の内省で、イライラが「知識のラベル付け」という客観的な整理作業に変わり、「どこに知識の負債があるか」が明確になります。

ルーティン2: 【翻訳の型】ストレスを「会社の損失」に変換する

  • 問題の焦点
    • 50代SEの時間(高単価)が、バッチ知識のフォローや手戻りといった低単価な業務に消費されるのは、時間単価の低下という損失です。
  • 行動の型
    • イライラを「感情」として処理せず、「ビジネスの金銭的リスク」に翻訳します。
      • 例1:協力会社の管理能力不足→「私の高単価な監視工数X時間」 → 「高単価人材の非効率利用リスク」。
      • 例2:DBやLinuxの課題 →「技術的トレードオフの分析」を怠った結果 →「将来的な性能劣化リスク」。
  • 効果
    • 愚痴が、私達の「年収20%アップの交渉材料」つまり市場価値を証明する論理へと昇華されます。

ルーティン3: 【型化の型】知識を「検索」から「資産」へ昇華させる

  • 問題の焦点
    • ルーティン1で特定した知識の負債を、二度と繰り返さない「仕組み」に変えることです。
  • 行動の型
    • ルーティン1でラベル付けした知識(例:バッチ/シェル開発の基本手順)を、「実行の型」として具体的なチェックリストや手順書に落とし込みます。
      • この「型」は、若手や協力会社が検索1回で答えを出せるように、クラウドツールなどでタグ付けし、組織の資産として公開します。
  • 効果
    • 私達の20数年の経験を組織の戦力に変え、イライラの原因であった「低単価なフォロー業務」から完全に解放されます。

Part4. まとめ:「不満」を「市場価値」に変える

本記事で解説したように、私達のイライラや疲弊の原因は、「知識の負債化」という構造的な問題にあります。

しかし、この負債こそが、50代SEである私達の市場価値を再定義する最大のチャンスです。

知識を「負債」から「資産」へ昇華させる

今日から、私達の20数年の経験を「個人の暗黙知」のままにせず、「組織で再利用できる資産」へと昇華させましょう。

  • 「内省の型」でイライラを客観的な事実に変え、「翻訳の型」でストレスを会社の損失リスク(MUST)に変換する。
  • そして、その知識を「技術」「プロジェクト」「ビジネス」の3つのラベルで整理し、「型化の型」として組織に提供する。

この一連の行動は、単なる「整理整頓」ではありません。これは、私達の役割を「火消し役」から、「組織全体の知識とシステムの設計者(アーキテクト)」へと変革する自己投資です。

不満は「市場価値」に変わる

この「型化技術」と「翻訳力」という武器を持つことで、私達は「ググる」を卒業し、DX時代のスピードで知識を再利用できるSEへと進化します。

私達の不満は、年収20%アップにつながる交渉材料となり、自身の市場価値を最大限に高めるための未来の価値へと変わるのです。

さあ、今日から「知識の負債」を解消し、私達のキャリアを私達の「意志」で切り拓いていきましょう。

この記事を書いた人
たなやん
  • システムエンジニア歴20年以上
  • 2年でうつ病を完全寛解
  • 現在はうつ病以前よりメンタルを楽に仕事に従事中
  • HSP気質を持つもそれも力に!
  • 心理学系講座講師

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