※この記事は個人の体験と知見に基づいています。
医療的な助言ではないこと、また成果を保証するものではありません。
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1.イントロダクション:あなたの疲弊は「人手不足」のせいではない

毎日お疲れ様です。高負荷現場で戦う50代HSP気質のSEであるあなたは、今、「仕事があるのはいいけれど、やることが多すぎる」と感じていませんか?
現在の私はまさにそれを痛烈に感じています。若い時は仕事があったらあっただけ、残業をしまくって、ただただ言われるがままに作業をこなし、疲弊していた時期がありました。
それが今はいろいろな規制もありますが、残業が100時間を超えるようなことはなく、過去うつ病になった時のような月の作業時間が300時間を超えるようなことは絶対にありません。
そんな状況で定時で帰れたとしても、なぜか週末には疲れを感じてしまいます。それは、やること、考えることが多く、ずっと頭を使っている状況になってしまっているからだと思っています。
過去に過剰労働でうつ病を経験した私だからこそ言えますが、この疲労感は「頑張ればなんとかなる」というものではありません。
IT業界の人手不足は構造的な問題ですが、あなたの疲弊は「単なる忙しさ」のせいではありません。それは、あなた自身の「心の防衛ライン」が崩壊寸前であることを示す、深刻なサインです。
私たちは、高いスキルを持つベテランであるにもかかわらず、以下の「3つのギャップ」に常に心を削られています。
- スキルと責任のギャップ:
- 若手が処理しきれない複雑なタスクや炎上案件の最終防波堤として、過剰な責任を引き受けざるを得ない。
- 期待と環境のギャップ
- 繊細なHSP気質ゆえに、メンバーの感情や場の雰囲気を無意識に読み込みすぎ、「感情のノイズ」にエネルギーを消耗する。
- 過去と未来のギャップ
- 過去の成功体験が、新しい技術や管理手法の波の中で「過負荷な思考のワナ」に変わり、不安を増幅させている。
このまま「頑張り」を続けても、待っているのは仕事の質の低下と、過去の私自身が直面したうつ病再発のリスクです。
心の技術(AI壁打ち)だけでは限界があり、**「頑張るのをやめて、次の戦略を立てる」**段階に来ています。この連載記事では、**仕事の「引き算」と「環境を変える戦略」**によって、心を消耗させないキャリアを再構築する方法を解説します。
2.なぜ「仕事があるのはいいこと」では済まされないのか

私たち50代HSPのSEは、仕事があることに感謝し、期待に応えようとします。しかし、この「仕事がある」という状況が、逆に私たちの心を削り続ける最大のワナになります。
それは、あなたがHSP気質ゆえに「完璧主義」に陥りやすく、無意識のうちに「自己犠牲」を強いられているからです。
特に私は、若手メンバーのドキュメントの誤字脱字や、スケジュール遅延を『自分の責任だ』と感じ、夜中にすべて修正していた時期がありました。今思えば、それは過剰な自己犠牲であり、チームの成長機会も奪う『ワナ』でした。
今思えば、チャットでお客様に投げる文章すら、全文添削していた時期がありました。こんなことをしていて、いいことがないのは、自明ですよね。我ながら何をやっていたんだろうと思います。
「努力のワナ」の正体
- 自己評価の低さ
- 「成果を出せているのは、自分が頑張ったから」ではなく、「自分はこの立場ではこれだけ頑張らなければ、無能だと思われる」と無意識に自己評価を下げる。
- 責任の過剰な引き受け
- チームのメンバーの心身の状態や、仕事の穴を埋めることを自分の責任だと感じ、断る選択肢を封印してしまう。
- 無意識の防衛サインの無視
- 自分の体力の限界や、**「体調の変化、無関心化」といった心の防衛ラインからの警告を、「仕事だから当然だ」**と無視し続けてしまう。
あなたが今感じている疲弊は、単なる忙しさではなく、あなたの心が「戦略的な見切り」を求めている決定的なサインなのです。この「キャリア術」連載は、そのサインに従い、心を消耗させない次のフィールドを見つけるための具体的な戦略を提供します。
3.HSPベテランSEが「引き算」すべき3つの領域

心を消耗させないキャリアを再構築するには、まず「どこにあなたの心のエネルギーを無駄遣いしているか」を明確にし、その領域から戦略的に撤退する「引き算」が必要です。
以下の3つの領域から、あなたのエネルギーを奪う「時間泥棒」を見つけ出し、戦略的な引き算を実行しましょう。
3-1. 領域1:時間泥棒を招く「過剰な責任」の引き算
- 問題の定義
- 50代ベテランは、無意識に若手の失敗まで引き受け、「自分が何とかしないと」という責任感で時間を消耗します。これはあなたの心身の安定にとって最も大きなリスクです。
- 引き算の戦略:
- 「80点でOK」の基準化
- 品質を100点から80点に意図的に下げ、それ以上の品質はチームの成長に託す。
- 役割の文書化
- 自分の役割を明確に文書化し、それ以外の「心のタスク(他者の心配など)」は意識的に手放す。
- 「80点でOK」の基準化
実際に私が『80点』を意識的に設定したところ、最初は不安でしたが、チームは問題なく回り、私の残業時間だけが激減しました。誰も完璧を求めていなかったことを知りました。
人に任せなかったのも自己満足でしかなく、かなり無駄なことをやっていたことがわかりました。そういう無駄を削ぎ落としていくことで、最大70時間超の残業が40時間程度にまでは減らせた実績があります。
それでも多いと思われると思いますが。30時間の削減はとても大きいことだと思います。
3-2. 領域2:最も消耗する「感情的なノイズ」の引き算
- 問題の定義:
- HSP気質であるあなたは、メンバーの不機嫌な顔や、会議室の空調の音など、無意識に感情と物理的なノイズを処理しており、それが思考の過負荷を引き起こしています。
- 引き算の戦略:
- ノイズ遮断時間の確保:
- 毎日決まった時間(例:始業前の1時間)を「ノイズ遮断時間」と定義し、静かな場所で自分のコアタスクに集中する。
- 感情の「データ化」:
- 人間関係のモヤモヤを「事実」「感情」「解釈」に分けてAIに壁打ちし、個人的な悩みではなく「論理的な問題」として扱う。
- ノイズ遮断時間の確保:
人間関係のモヤモヤをAIに壁打ちすると、AIは『それは〇〇さんのプロジェクトへの不安を表しているだけで、あなたへの不満ではない』と、感情を排した論理的な結論を出してくれました。これにより、会議後の反芻時間が半減しました。
AIはとりあえず何を言っても否定することはありません。もちろん鵜呑みにしすぎることは危険ですが、たまにいる相談にしたこと対して頭ごなしに全否定する上司や同僚がいますが、そういうことはありません。
気軽に相談することができますし、自分がどう思ってモヤモヤしているのかの深堀りにも使えて、とても楽になりました。
3-3. 領域3:未来を奪う「無意味な自己学習」の引き算
- 問題の定義:
- 不安から「なんでもかんでも学ばなければ」と焦り、興味のない最新技術や流行のツールに手を広げ、学習が自己目的化し、エネルギーを消耗する。
- 引き算の戦略:
- 「再利用可能資産」への集中:
- 自分の過去の成功経験や強みにAIを学習させ、キャリアの軸となるスキル(ドキュメント化やコミュニケーション能力など)に集中投資する。
- 「できないこと」の受容: 全能感を捨て、自分が苦手で他者に任せた方が成果が出る領域は、意識的に手放す(引き算する)。
- 「再利用可能資産」への集中:
日々変革していく新しい技術、それを吸収していく若手に追いつこうと闇雲に学習していた頃の焦りは、『自分の20年の経験こそが最も貴重な資産だ』と気づいてから消えました。すべてを知る必要はないのです。
私と同じ50代で20数年の経験を持っているシステムエンジニアには、その経験を活かせる部分が最新技術を知らなくても、たくさんあります。最新技術はそれをメインに実施している人に任せて、自分の経験を活かせる領域で仕事をしていけばいいだけだと気づけたことは大きいとおもっています。
IT業界、トレンドを追うことは大事なところではありますが、全部自分で使えなくても仕事は回ります。
4.まとめ:心を消耗させない「戦略的撤退」を始めよう

この記事では、「頑張り」や「仕事があるのはいいこと」という社会のノイズを無視し、心を消耗させないための「戦略的撤退(引き算)」の重要性を解説しました。
HSPベテランSEであるあなたが今感じている疲弊は、単なる忙しさではなく、「キャリア戦略を根本的に見直す」時期に来ているという、あなたの心からのサインです。
次のステップ:心を消耗させない「戦場」へ
今回の「引き算」戦略は、あなたの心のエネルギーを温存し、防衛ラインを守るための第一歩です。しかし、根本的に心を消耗させないキャリアを構築するには、あなたの特性を活かせる「戦場(環境)」を見つける必要があります。
「環境を変える」ことは最も勇気がいる決断ですが、それこそがうつ病再発のリスクから身を守る最大の防御策です。
次回の連載、【HSP SEのキャリア術 第2回】では、以下のテーマを深掘りします。
- 心を消耗させない「次のフィールド」を具体的に見つけるための3ステップ
- 現職に留まる場合でも、「無関心化」によって心の消耗を最小限に抑える具体的な習慣
- 「転職50代」として失敗しないための、あなたの非技術的スキル(人、知識)の再構築術
この連載を読み進め、心を消耗させないキャリアを、私と一緒に作り上げましょう。

