【キャリア 3 部作】 50 代 SE の命綱!非技術的スキル 第 3 弾:50代SEの自己成長術:知恵を更新する「傾聴と内省の習慣」

目次

1.なぜ「過去の成功体験」がキャリアの壁になるのか?

私たちは皆、「変化への抵抗」という名のバイアスを抱えている

50代SEである私たちはキャリアについて悩むことが多いと思います。特に技術力というものにはいつも悩まされます。

ここまで20数年のキャリアで積み上げた技術も陳腐化したり、使えなくなったりと悩むことが多いからです。

SEは日々最新の技術を追っていく必要があり、その努力が必要でなくなることはありません。

ただ、その努力をしようとした時に、私たちのような50代のSEのキャリアを阻む最大の壁は、もはや「技術力の不足」ではないことが最近わかってきました。

私たちは20数年年間、常に困難を乗り越え、システムを動かし続けてきました。

真の敵は、「過去の成功体験」です。

私たちは、過去の経験に基づいて「このやり方が正しい」「昔も同じようなことがあった」と、新しい技術や若手の意見に対して無意識のうちに「思考停止」という名のバイアスをかけてしまいます。

クラウド、AI、アジャイルといった新しい手法が生まれるたびに、「私の時代は〜だった」という過去の成功体験が、新しい知識の侵入を防ぐ「防護壁」として機能してしまうのです。

知識の「陳腐化」が、3部作の努力を無にする

前回の記事までで、私たちは「人を動かすコミュニケーション(翻訳力)」と「知識を資産化するドキュメント技術」という強力なスキルを身につけました。

しかし、土台となる「知識そのもの」が陳腐化してしまえば、どんなに洗練されたドキュメントも、どんなに円滑な会話も、「古いノウハウの伝達」にしかなりません。

50代SEにとって最も恐れるべきは、「今のやり方で満足してしまうことによる、キャリアの停滞」です。

長寿化するキャリアの中で、あなたの知識を絶えず最新の状態に磨き続けること。それができなければ、過去の栄光が足かせとなり、組織の中であなたの存在感は薄れていくでしょう。

本記事では、この「陳腐化」を防ぎ、28年の知恵を更新し続けるための、2つのシンプルな習慣について解説します。

それが、「傾聴」と「内省」です。

2. スキル3の核:「陳腐化」を防ぐ2つの習慣

2-1. 習慣1:【「傾聴」で若手と異なる視点を取り込む技術】

ベテランの「経験則」が、新しい知識への扉を閉ざす

長年のキャリアを持つ私たちは、目の前の問題や新しい技術を見た瞬間、「これは以前のあの技術の焼き直しだ」「あの時と同じ失敗をするだろう」と即座に判断を下す「経験則」を持っています。

これが、私たちの最大の武器であると同時に、知識を陳腐化させる最大の原因となります。

新しい技術や若手の意見は、私たちが長年守ってきた「常識」とは異なる価値観を持っています。

その話を聞いたとき、私たちは無意識のうちに「結論の予測」をしてしまい、話の腰を折ったり、自身の過去の経験に当てはめて誤った解釈をしてしまいがちです。

知識をアップデートするための「異文化交流」

知識をアップデートするには、若手との会話を「異文化交流」だと捉える姿勢が必要です。

彼らの話の中にある新しい技術用語(例:コンテナ、DevOps、生成AI)を、「自分の過去の経験」に当てはめて解釈するのをやめましょう。

重要なのは、彼らが「なぜその新しい技術(文化)に価値を見出しているか」を理解することです。

それは、私たちが過去に重視しなかったスピードやコスト、あるいは開発の自由度かもしれません。

会議や雑談で、「若手の話を最後まで聞く7割、質問を3割に抑える」という傾聴の姿勢を意識してください。

これにより、あなたの知識の防護壁を一時的に下げ、若手という「外部の新しい情報源」を、あなたの20数年の知識基盤に取り込むことができるのです。

2-2. 習慣2:【「内省」で思考のバイアスを修正する技術】

問題発生時に問うべきは「誰のせいか」ではなく「私の思考のどの部分か」

「傾聴」で外部からの新しい情報を取り込んだとしても、それを「自分の20数年の知識基盤」に正しく組み込めなければ、結局は「一時的な知識」で終わってしまいます。

ここで必要になるのが、「内省(リフレクション)」です。

プロジェクトで失敗や問題が発生したとき、私たちは反射的に「他責(あの部門のせい、あのツールのせい)」という非常に強力な思考のバイアスをかけてしまいがちです。

しかし、真の自己成長は、失敗の責任を外部に求めている限り、絶対に始まりません。

「5分間の1人会議」でバイアスを特定する

内省とは、誰の目にも触れない「自分の成長のための1人会議」です。

問題が発生したときや、若手の話が理解できなかったときこそ、時間を取って自分自身に問いかけてください。

  • 「今回の失敗で、私が下した判断のうち、最も古い10年以上前の)経験則に基づいていた部分はどこか?」
  • 「若手の話に対し、私が 『それは無理だ』 と反射的に思ったのは、過去のどの成功体験に基づく偏見か?」

この「問い」によって、私たちは無意識のうちに頼っていた過去の成功体験という名の「思考の癖(バイアス)」**を特定し、修正することができます。

毎日5分、この「内省の型」を行う習慣こそが、あなたの28年の知恵を、陳腐化から守り、未来へと繋げる最も強力なスキルとなるのです。

3. まとめ:キャリア3部作の完結と、あなたの次の1歩

本記事では、【キャリア3部作】の最終スキルとして、知識とキャリアの陳腐化を防ぐ「傾聴と内省の習慣」について解説しました。

私たちが20数年のキャリアの中で培った「過去の成功体験」は、「思考停止」というバイアスを生み、新しい技術や若手の意見を拒絶する「防護壁」となってしまいます。

この壁を乗り越えるには、「若手という異文化からの知識を 『傾聴』 で取り込み、 『内省』 で自分の思考のバイアスを修正する」という、地道な習慣が不可欠です。

この3回の連載で解説した非技術的スキル3つは、50代SEのキャリアを「技術に閉じこもりがちな専門家」から「組織全体に影響を与える指導者」へと進化させるためのロードマップです。

  スキル目的成果
第1弾:翻訳力人を動かし、利害の衝突を避ける「正論を振りかざす人」から「チームを成功に導く人」へ
第2弾:型化技術知識を再利用可能な資産に変える「暗黙知」から「組織の仕組みを作る設計者」へ
第3弾:内省の習慣キャリアの陳腐化を防ぎ、自己成長を継続する「過去の成功体験」を「未来の成長の土台」へ

キャリアは「内省」と「アウトプット」の循環で強くなる

あなたの28年の知識は、この3つのスキルによって「陳腐化しない最強の資産」へと昇華されます。

そして、このスキルを磨くための具体的な行動こそが、資格試験への挑戦や外部への発信です。

  • システムアーキテクト(SA)受験: SA試験は、あなたの知識の偏りを特定し、「内省」を深める最高の機会です。
  • ブログやTimeTicketでの活動: 外部にアウトプットし、読者や利用者のフィードバックを得ることは、「傾聴」の機会を人工的に作り出し、あなたの経験値を試す訓練となります。

あなたの「知恵の深さ」は最大の武器ですが、それを「傾聴と内省」で常に磨き続けることが、50SEのキャリアを長く、強く維持する唯一の方法です。

ぜひ、この3部作を道標とし、あなたのキャリアの第2章を力強く歩み出してください。

この記事を書いた人
たなやん
  • システムエンジニア歴20年以上
  • 2年でうつ病を完全寛解
  • 現在はうつ病以前よりメンタルを楽に仕事に従事中
  • HSP気質を持つもそれも力に!
  • 心理学系講座講師

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