DBスペシャリスト不合格:30年目PMが悟った『脳のメモリ不足』と環境の残酷な真実

※この記事は個人の体験と知見に基づいています。
医療的な助言ではないこと、また成果を保証するものではありません。            
免責事項の全文はこちらをご参照ください。

目次

1.はじめに:嘘偽りない「結果」の報告

今回、情報処理試験(DBスペシャリスト)に挑戦したが、午前2で足切り不合格だった。

30年もIT業界で飯を食ってきた身としては、正直に言って、午前2で脱落したという事実は、書くのが憚られるほど恥ずかしい。ベテランなら、あるいはこれまでの経験があれば「受かって当然」という声も聞こえてきそうだ。

しかし、2025年の終わりを目前に、私はあえてこの「みっともない結果」を包み隠さず報告することにした。

なぜなら、この不合格は単なる「勉強不足」という一言では片付けられない、現代のエンジニアやマネージャーが陥る「ある残酷な真実」を浮き彫りにしていたからだ。

今回、今までの勉強の仕方が悪かったのではないかと、studyingのオンライン講座に申し込んだ。過去ファイナンシャルプランナー2級を合格した際、ユーキャンの講座に申し込んで合格できたから、こういう講座に申し込んで勉強すれば、合格できるのではないかと思ったからである。

今まで以上に、意を決して、前回のシステムアーキテクト不合格の後、すぐに勉強を始めた。

今回こそは合格する!と意気込んで、隙間時間を使いつつ、過去問演習もそれなりにやった。

ただ、試験が終わった今、反省点もある。午後試験について、確認が足りなかったことはいくつかあり、その辺りの落ち度で今回も合格はないなと思っていたが、結果は午前2での足切り。

これは完全に想定外だった。午前2はほぼ暗記でもいけるものの認識だったし、オンライン講座でもしっかり理解はしていたつもりだった。

たしかに試験が始まった時に、「あれ?なんかよくわからない問題が多い?」「頭の働きが悪い?」と思ったことは記憶にある。 試験が進むごとに「今回もだめそうだ」という絶望感にも似た気持ちに支配されていった。

試験が進むごとに今回もだめそうだという気持ちにもなっていた。

「なぜ、経験豊富なはずのベテランが、基礎的な試験で脳が動かなくなったのか?」

その答えは、試験会場ではなく、日々の「現場」にあった。 この点を今後に活かすためにも、ここで考察していこうと思う。

2.現場のリアル:試験勉強を阻む「外的な負荷」

私はキャリアとして30年の間IT業界に身を置き、プログラマー、SE、PMと幅広い役割を担ってきた。実際に数万ステップのプログラムを組み、設計書を1から書きあげ、テストをこなす。大規模なリリースもなんども経験し、他システムとの総合テストのリードなども行ってきた。

なので、上流工程から下流工程までまんべんなく経験したきた経緯があり、長い経験から、メンバーや顧客の協力を得てシステムの安定運用を担ってきた自負がある。

そんな私の現状は、2名の社員で20名超の協力会社のメンバーを抱えながら、プロジェクトを運営しつつ、細かい作業の確認、設計書などのレビュー、運用で起きた障害に対する障害対応、顧客対応をしつつ、自分でも調査や設計、ヘタをすると開発までを実施している。

一般的なことはよくわからないが、脳が4つくらいに分割されるような気持ちになる、マルチタスクで日々を過ごしている。

加えて、会社からの指示が多く、業務外でいろいろ実施させられることが多いこと、今年から始まった会社の施策にも翻弄され、身体の疲れはそこまで感じなくても、定期的に頭が働かなくなるような感覚を日々感じていた。

しかも、外的要因的にもうまく動かないメンバーに対する後始末など、本来のPM業務ではない発生するものではないところまで手を回している。

これは自分が手を出さなければいいところもあると思うが、プロジェクト、担当システムの安定運用のためには仕方がないことだと思い実施している。

もちろん体制的に厳しいところもあるが、昭和生まれのサラリーマンの性か、言われたことに細かいNOは言うものの、結果的に受けてしまうということもある。

最近気付いたのだが、過去にいじめられたり、裏切られて苦しい思いをした経験からか、メンバー、同僚、上司のはしごを外してくる行動にビットが立ってしまい、その都度イライラを募らせてしまう。

このような状態の中で、勉強時間をなんとか確保し、試験直前まで頑張って勉強した(つもり)。

しかし、脳が「学習モード」に切り替わることはなかったと思われる。休日も脳は「戦闘モード」のまま。

勉強している最中でも、頭をよぎるプロジェクトのこと、今後のスケジュール。

AIに聞いたり、調べた結果、 慢性的なストレスは、脳の「前頭前野」という冷静な思考を司る部分をマヒさせる。

試験中、文字を追っているつもりでも、脳は現場のトラブルを解決しようとフル回転を続け、試験問題を受け付ける余白(ワーキングメモリ)は1ミリも残っていなかったのだ。

結局のところ、私の脳は試験会場に座りながらも、実際には「戦場」から帰還できていなかったのだ。

30年の経験があり、知識も準備も揃っていたはずの私が、なぜ午前2という基礎的な壁に阻まれたのか。

その裏側にある「認知負荷理論」や「前頭前野の機能低下」といった科学的な背景、そして現代のベテランエンジニアが直面している「環境の残酷な真実」について、次の章で深く掘り下げてみたい。

3.脳科学から見た「不合格」の正体(科学的盾)

この不合格を機に、自分の脳に何が起きていたのかをAIの力も借りて徹底的に調べてみた。私と同じような境遇にある人にとっては参考になるのではないかと思う。

ワーキングメモリの占有:バックグラウンドで動き続ける「不安プロセス」

人間の脳、特に「ワーキングメモリ」には容量の限界がある。PCでいえば、ウイルススキャンが裏で走っていると動作が重くなるのと同じだ。

ベテランになればなるほど、純粋な学習だけでなく、「現場の予測」「リスク管理」「人間関係の調整」といった高度なバックグラウンド・プロセスが常に走り続ける。

  • 例えば私の場合
    • 「不信感にビットが立つ」と表現しているが、過去の経験から「裏切られる不安」を検知するセンサーが過敏に働き、脳のリソースを常に消費していた。これは多くの責任ある立場にいる人が抱える「予期不安によるメモリ不足」の一種と言える。

結晶性知能 vs 流動性知能:現場の強さが試験の弱点に?

心理学では、経験や知識の蓄積である「結晶性知能」と、新しい情報を素早く処理する「流動性知能」を区別する。

30年のベテランが持つ強みは前者だ。しかし、情報処理試験の午前問題が求めるのは後者の瞬発力である。 過酷な現場で生き抜くために「判断力(結晶性知能)」を極限まで研ぎ澄ませている脳にとって、試験用のパズルを解くような処理は、優先順位が極めて低くなってしまう。

  • 例えば私の場合
    • 「脳が4つに分割される感覚」でマルチタスクをこなす日々は、常に高度な判断を優先する脳を作り上げた。その結果、試験特有の瞬発的な暗記にリソースを割くことが、物理的に困難になっていたのだ。

慢性ストレスによる前頭前野の機能低下

長期間、高い責任感を持って現場を守り続けると、ストレスホルモン(コルチゾール)の影響で、論理的思考を司る「前頭前野」が慢性的に疲弊する。 これは「努力」や「根性」の問題ではなく、脳という臓器の「オーバーヒート」である。

試験会場で感じた「頭の働きが悪い」という違和感の正体はこれだ。

特に、過去のトラウマに関連する「裏切られる不安」は、脳の扁桃体を過剰に刺激する。扁桃体が暴走すると前頭前野にロックがかかり、わかっているはずの基礎問題さえ「霧の中」に隠れてしまうのだ。

  • 例えば私の場合
    • 昭和生まれの責任感からNOと言えず、他部署のフォローまで引き受けてきた。この「過剰な適応」が、試験本番で「わかっているはずなのに頭に入ってこない」というフリーズ状態を引き起こした真の理由だ。

4.結論:この不合格は「敗北」ではない

現場の「安定」を優先したという事実

不合格という数字は、今の私の「試験に対する不適合」を示しているに過ぎない。

PMとしての私の役割は、どんなにリソースが不足し、体制が不完全であっても、プロジェクトを完遂させ、システムの安定運用を守り抜くことだ。

今回の試験期間中、私の脳は「試験の1点」を積み上げることよりも、現場で発生する数々の予期せぬ課題に対し「100点の判断」を下し続けることに全リソースを割いていた。

それはプロとしての優先順位の結果であり、誇るべき「仕事の証」だと考えている。

資格という「形式」から、実利ある「アウトプット」へ

これまで「合格」という他者評価の指標を追いかけてきた。

しかし、今回の結果を受けて、自分自身のフェーズが変わったことを確信した。 30年の経験で培った経験やスキルは、もはや試験問題の選択肢に収まるものではない。

これからは、資格試験という枠組みに固執するのではなく、その知見を直接、誰かの役に立つ形(社内外問わず)へアウトプットしていく「実利のフェーズ」へ移行する。

若手エンジニアに伝えたい「早めに受けておくべき理由」

もし、この記事を読んでいる若手エンジニアがいるなら、これだけは伝えたい。「資格試験は、できるだけ若いうちに、身軽なうちに挑戦すべき」ということだ。

理由は2つある。

  • 脳の「モード切り替え」の容易さ
    • 若手の頃は「自分の担当タスク」に集中すれば良い。脳のワーキングメモリの大部分を学習に充てられる。
    • しかし、立場が上がるにつれ、脳内には「組織の不条理」「多方面への調整」「リスク検知」といった、学習を阻害するバックグラウンド・プロセスが常に走り続けるようになる。
  • 「結晶性知能」への依存が始まる前に行くべき
    • 経験を積むほど、過去のパターンで解く「結晶性知能」が強くなる。これは実務には最強の武器だが、試験特有の「重箱の隅を突くような流動的な瞬発力」を鈍らせることがある。

「経験を積んでから」ではなく、「経験が浅く、脳がピュアなうちに」合格を勝ち取っておくことが、将来の自分を助ける最大の戦略になる。(この意味だと私は失敗してしまったかもしれない)

5.おわりに:次の一歩

評価の物差しを、自分の手に取り戻す

今回の不合格と、その後の自己分析を経て、私の中にあった「資格を取らなければならない」という強迫観念のようなものは消えた。

30年のキャリアで得たものは、試験のスコアで測れるほど底の浅いものではない。これからは他者が作った評価軸に自分を合わせるのではなく、自分が培ってきた「生きた知見」をどう活用するかに軸足を置きたい。

「社内外問わず」知見を還元する

これまでの私は、会社のプロジェクトという枠組みの中で、全力で走り続けてきた。

しかし、今の私の脳にある知見――DBの深い技術、PMとしてのリスク管理、そして学んでいる心理学的な視点――は、もっと広い場所で、困っている誰かを救える力を持っているはずだ。

今後はブログでの発信や技術支援など、社内外を問わず自分の知見を直接誰かに届ける活動へシフトしていく。

自分を責めているベテランたちへ

もし、私と同じように「昔のように結果が出ない」と自分を責めているベテランエンジニアがいるなら、伝えたい。

あなたは能力が落ちたのではない。あまりに多くの重荷を背負い、誰かのために脳を使い果たしているだけだ。

一度、その「戦士の休息」を自分に許してほしい。そして、資格という称号ではなく、あなたがこれまでに守り抜いてきた「現場の数」と「蓄積された知恵」に、もっと胸を張ってほしい。

私も、ここから新しい一歩を踏み出すことにする。

この記事を書いた人
たなやん
  • システムエンジニア歴20年以上
  • 2年でうつ病を完全寛解
  • 現在はうつ病以前よりメンタルを楽に仕事に従事中
  • HSP気質を持つもそれも力に!
  • 心理学系講座講師

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