最新技術を追い続けるのに疲れたあなたへ。20数年現場にいるSEが教える「枯れた技術」との付き合い方

「新しい技術を追いかけ続けないと、エンジニアとして終わってしまう」

そんな強迫観念に駆られて、休日もPCに向かい、インプットに明け暮れてはいませんか? かつては楽しかった学習が、いつの間にか「こなさなければならないノルマ」になり、心からワクワクできなくなっている……。

もしあなたが今、そう感じているのなら、一度深く息を吐いてみてください。

IT業界の技術革新は凄まじく、半年前に「最新」だったものが今日には「古い」と言われることも珍しくありません。

しかし、20数年間、エンジニアリングの現場の最前線で戦い、多くの技術が生まれては消えていく様を見てきた私は、ある一つの真実にたどり着きました。

それは、「すべての最新技術を追いかける必要はない」ということです。

むしろ、長くプロとして生き残り、メンタルを健やかに保ちながら成果を出し続けるために必要なのは、最新技術への盲目的な追従ではなく、時代が変わっても色褪せない「枯れた技術」との付き合い方を知ることです。

この記事では、変化の激しい業界で溺れそうになっているあなたへ、私が20数年のキャリアで確立した「最新」と「枯れた技術」の賢い使い分け、そしてエンジニアとしての息の長い生存戦略をお伝えします。

この記事を読み終える頃には、あなたの技術に対する向き合い方は、もっと自由で、もっと楽なものに変わっているはずです。

目次

1.押し寄せる技術の波に、溺れていませんか?

「新しいフレームワークが出たらしい」「これからはAIを使いこなせないエンジニアは生き残れない」

IT業界に身を置いていると、毎日のように新しい技術の波が押し寄せてきます。SNSを開けば、最新技術をキャッチアップしてキラキラと輝いている若手エンジニアの投稿が目に入り、ふと自分と比較して焦りを感じる……。そんな経験はないでしょうか。

特に20年前後キャリアを積んできたベテランや中堅層にとって、この「終わりのないキャッチアップ」は、かつてのような純粋な好奇心だけでは乗り切れない、重いプレッシャーになりつつあります。

正直に告白します。20数年この現場にいる私ですら、時にこの波に溺れそうになります。

「次から次へと新しいものが出てきて、一体どこまで追いかければいいんだ?」 「昔覚えた技術はもう時代遅れなのか?」

そう感じて、ふと立ち止まりたくなったとしても、それはあなたがエンジニアとして衰えたからではありません。むしろ、一つの技術を深く使い込み、その本質を知っているからこそ感じる「健全な違和感」なのです。

現代のエンジニアリングは、あまりにも「新しさ」ばかりが正義とされがちです。しかし、20数年の荒波をくぐり抜けてきた私が確信しているのは、「最新」だけが唯一の正解ではないということです。

もし今、あなたが技術の荒波に溺れ、息苦しさを感じているのなら、一度泳ぐのをやめて浮かんでみてください。最新技術のさらに深い場所には、時代が変わっても決して揺るがない「枯れた技術」という名の安定した地盤が広がっています。

この記事では、私が四半世紀以上の現場経験で見出した、変化の激しいこの世界を「省エネ」で、かつ「プロ」として生き抜くための戦略をお伝えします。

2.20数年生き残ってわかった「技術の賞味期限」の見極め方

IT業界において、技術が移り変わるのは自然な摂理です。私が20数年の間に見てきたのは、「最新技術がいかにしてレガシー(枯れた技術)へと育っていくか」というサイクルそのものでした。

ここで大切なのは、最新技術を否定することではなく、その技術の「賞味期限(旬の期間)」と「本質(残る部分)」を見極める目を持つことです。

  • 「最新」はやがて「定番」になり、そして「土台」になる
    • 今、若手が必死に学んでいる最新技術も、数年後には誰もが使う「定番」になり、さらに数年後には「知っていて当たり前の土台(枯れた技術)」になります。それは決して無駄ではなく、エンジニアリングの歴史を支える大切な一歩です。
  • 「表層の流行」と「深層の原理」を分ける
    • 新しいフレームワークやツールが登場しても、その根底にあるのは、20数年前から変わらない「データの扱い方」や「通信の仕組み」だったりします。表層の書き方(流行)だけに一喜一憂すると疲弊しますが、その奥にある原理(深層)を意識して学べば、技術が変わっても応用が効く「一生モノのスキル」になります。

私が「技術の賞味期限」という言葉で伝えたいのは、「いつまでも全力疾走で流行だけを追い続けるのは、ベテランになればなるほど体力的に厳しくなる」という現実的な生存戦略です。

若いうちは最新の波を楽しみ、どん欲に吸収すればいい。しかし、キャリアを重ねるにつれ、徐々に「賞味期限が切れない基礎」を自分のポートフォリオの核に据えていく。そうすることで、技術がどんなに変わっても、あなたは「プロ」として立ち続けることができます。

余談ですが、私が中堅に差し掛かった頃、Javaが流行りました。その時、開発に携わることができず、Javaについてはなんとなく仕組みがわかる程度で今も止まっています。

Javaも私が一番使っていたC言語同様、だんだん使われなくなっていくと思っていましたが、2026年現在、まだ一線で使われている現実があります。当時勉強しておけばよかったなと思う反面、どれを勉強しても同じだったかなという思いもあります。

そんな余談がありつつも、本質部分を知ることで、今でも前線に出れる状態ではいると思っているので、昔よりさらに技術領域の幅が広がっている今の現状でいろいろ目移りしてしまうかもしれませんが、心配しすぎることはありません。

本質さえ掴んでおけば、時代が変わってもあなたは必ずまた前線に立てます。私自身が、そう確信しているからです。

3.『枯れた技術』を、最新技術を使いこなすための『アンカー(錨)』にする

「枯れた技術」と聞くと、どこか古臭くて魅力のないものに感じるかもしれません。しかし、20数年の現場経験を経て断言できるのは、「枯れた技術こそが、エンジニアの心と時間を守る最強の武器になる」ということです。

ここで言う「枯れた技術」とは、単に古い技術のことではありません。多くの現場で使い倒され、バグが出尽くし、ノウハウが完全に確立された、「計算が立つ技術」のことです。

なぜこれが武器になるのか。それは、以下の3つの安心感を私たちに与えてくれるからです。

  • 「最新 vs 枯れた」の対立をやめる
    • 最新技術は、ビジネスの付加価値を上げるために不可欠なものです。しかし、最新技術だけで固めたシステムは、未知の不具合やドキュメント不足というリスクを孕みます。
  • 「守り」のレイヤーに枯れた技術を置く
    • 例えば、UIやフロントエンドには最新のフレームワークを使いつつ、データの保存や基幹部分の通信には、20数年の実績がある安定した技術を使う。そうすることで、もし最新部分で問題が起きても、データが壊れるような致命的な事態は防げます。
  • 「枯れた技術」が最新技術の習得を助ける
    • 最新技術の仕様で迷ったとき、「要するにこれは、昔の〇〇と同じ仕組みだな」という補助線が引ける。枯れた技術を知っているからこそ、最新技術の「本当の凄さ」と「注意すべき欠点」が瞬時に見抜ける。これがベテランの真の強みです。

私は今、あえて新しい技術を追いかけすぎないようにしています。 もちろん、最低限のキャッチアップは必要ですが、自分のコアとなる武器には、あえて使い慣れた「枯れた技術」を据えています。

それは、エンジニアとしてのパフォーマンスを最大化しつつ、自分の生活やジムに行くための「時間」を確実に確保するための、戦略的な選択なのです。

4.結び:100歩先ではなく、半歩先を歩く

エンジニアとして生きている限り、技術の進歩を無視することはできません。しかし、常に100歩先を走る必要もありません。

私が20数年の経験から学んだ、最も持続可能な歩き方は、「流行の100歩先ではなく、実務の半歩先を歩く」というスタンスです。

  • 「半歩先」で十分な理由
    • 多くのビジネス現場で求められているのは、誰も使ったことがない最新技術の実験場ではなく、確実に、安全に、止まることなく動き続けるシステムです。半歩先の技術——つまり、少し新しく、かつ安定性が確認され始めたもの——を選べることこそが、真のプロの目利きです。
  • 「追いかけない」という勇気を持つ
    • すべての波に乗ろうとすれば、いつか疲弊し、エンジニアという仕事自体を嫌いになってしまうかもしれません。そうなる前に、「これは自分の武器にする」「これは概念だけ知っておけばいい」と線を引く勇気を持ってください。

エンジニアリングは、あくまで人生を豊かにするための手段の一つです。 最新技術に振り回されて、心身の健康や大切な時間を削ってしまっては本末転倒です。

もし今、あなたが技術の波に呑まれそうなら、どうか思い出してください。20数年前から変わらずにあなたを支えている基礎技術が、今のあなたを十分に「プロ」として立たせているということを。

「枯れた技術」を盾にし、軽やかに「半歩先」を歩む。 そんな付き合い方を覚えるだけで、エンジニアとしての道はもっと長く、もっと穏やかで楽しいものに変わっていきます。

私もかつては100歩先を追おうとして息切れしていました。でも、歩幅を『半歩』に変えてから、エンジニアという仕事がまた楽しくなりました。あなたも、自分の歩幅で歩いてみませんか?

この記事を書いた人
たなやん
  • システムエンジニア歴20年以上
  • 2年でうつ病を完全寛解
  • 現在はうつ病以前よりメンタルを楽に仕事に従事中
  • HSP気質を持つもそれも力に!
  • 心理学系講座講師

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