🚨 本記事に関するご注意 本記事は、大規模プロジェクト等の経験を持つ筆者の過去の個人的な体験談と、心理学的アプローチに関する個人の学習に基づく情報共有を目的としています。心身の不調やコンディショニングに関するご判断については、必ず専門の医療機関やカウンセリング機関にご相談ください。
これまでの記事では、HSP気質なシステムエンジニアが心身のバランスを崩して休職に至った経緯についてお話ししてきました。今回は、約1ヶ月の休職を経て職場復帰を果たした直後の「最初の日々」に焦点を当て、そこで何を感じ、どう過ごしていたのかを振り返ります。
当時、復帰後にどのような環境が待っていたのか、会社はどのような対応をとってくれるのか、そして何より「この時期に絶対にやってはいけないこと」についてお伝えします。同じような状況で不安を抱えている方の、小さな参考になれば幸いです。
第1章:復帰を言い渡された日と、まさかの配属先

約1ヶ月の休職期間を経て、職場へ復帰することになりました。一般的には、より重度の不調を経験された方の場合は通勤訓練などから徐々に慣らしていくことが多いようですが、当時の私の場合はそのまま通常の復帰となりました。
そして、復帰初日に最も驚いたのが「配属先」でした。 なんと、自分がうつ病になる直接の原因となった、あの過酷なプロジェクトへ戻されることになったのです。「なぜまた同じ環境に戻されるのか、またあのプレッシャーに晒されるのではないか」と、当時は強い恐怖と不条理さを感じました。
後から人事担当者に聞いた話では、メンタルダウンを経験した社員を復帰させる際、基本的には「元いた職場(または近しい環境)」に戻すことが多いのだそうです。
理由は、ただでさえ心身が消耗している状態で全く新しい環境や人間関係に放り込まれること自体が、大きなストレスになってしまうからです。もちろん、ハラスメントなどが原因だった場合は別ですが、勝手が分かっている場所のほうが新たな不安要素を減らせるという配慮からのアプローチでした。
とはいえ、実際に通い慣れた駅やオフィスに向かうまでの足取りは重く、初日は不安でいっぱいだったことを今でも覚えています。
第2章:復帰直後の仕事環境と、心身のリアルな状態

会社からは以下のような就業上の配慮や指示が出ていました。
- 定時での確実な帰宅(残業の禁止)
- 産業医との定期的な面談の実施
- 難しい業務は避け、比較的負担の少ない作業から慣れていくこと
運良く、もとのプロジェクト内でも直接のトラブルメーカーではなく、気心の知れた先輩がいるチームにアサインしてもらえました。周囲のメンバーも「まずはゆっくりでいいからね」「定時になったら帰りなさい」と温かく声をかけてくれ、配慮してもらえる環境があったことは本当に救いでした。
身体と心の不安定さ
それでも、一度ダメージを受けた心身は簡単には元に戻りませんでした。 例えば、同僚とランチに出かけた先で急に強い吐き気に襲われたり、仕事中に理由のない不安感に駆られたりすることがありました。
当時は医師の指導のもとでお薬(抗うつ薬や不安を和らげるお薬)を服用していましたが、その副作用もあってか、日中も頭がボーッとしたり強い眠気に悩まされたりしながら仕事をしていました。頻繁な頭痛などで会社を休んでしまうことも少なくありませんでした。
自分で自分を追い込んでしまう思考
仕事が思うように進まない中、当時の私は次のようなネガティブな思考にとりつかれていました。
- 「本当はもっとテキパキと仕事をこなさなければいけないのではないか」
- 「周りの先輩たちから『なんでこんなこともできないんだ』と思われているに違いない」
- 「今の仕事ができない状態なのはすべて自分のせいで、そんな自分が情けない」
復帰直後は目の前のことをこなすだけで精一杯でしたが、時間が経ち、少しずつ頭が働くようになってくると、今度は「自分の低下したパフォーマンス」に対して激しい自己否定を繰り返すようになってしまったのです。
第3章:この時期に絶対に意識してほしい「無理をしない」という選択

もし今、同じように心身の不調から復帰したばかりの方がこれを読んでいらっしゃるなら、どうか当時の私のように自分を必要以上に責めないであげてください。
うつ病や深刻なメンタル不調から復帰した直後というのは、脳も身体もまだ本来の調子を取り戻していません。普通にバリバリ仕事ができるわけがないのです。
この時期は「今の自分は通常の状態ではない」「周りの人たちに甘えてしまっていい時期だ」と割り切り、仕事の成果やスピードはいったん横に置いておくことが何よりも大切です。毎朝、会社に出社できているという事実だけでも「100点満点」なのだと思ってください。
「諦める」という言葉はネガティブに捉えられがちですが、その語源は「明らかにする」です。現在の自分のコンディションやキャパシティの限界を正しく「明らかにし」、今は無理をしなくていいのだと受け入れること。それが回復への確実な一歩となります。
第4章:少しずつ回復していく中で訪れる「新たな焦り」

周囲の温かいサポートと、定時上がりのゆったりとしたペースを約2ヶ月ほど続けた頃、私の頭の状態も少しずつクリアになり、普通の感覚を取り戻していきました。
その後、別のチームへの異動を言い渡されました。元々知っている上司がいるチームだったため精神的な安心感はありましたが、業務内容が少し変わることで再び小さな不安が芽生え、一時的にお薬手帳の数字が増える(頓服に頼る)ようなこともありました。
復帰から3ヶ月、半年と時間が経つにつれ、体調が安定してくると、次のような落とし穴にハマりやすくなります。
「就業制限も外れたし、そろそろ周囲に追いつくために頑張らなければならないのではないか」
この「焦り」から再びアクセルを踏んでしまうことが、メンタル不調を再発させる最大のリスキーな行動です。周囲の制限がなくなったからといって、自分の内面の回復が完全に追いついているとは限りません。この時期も「意識して無理をしない」というスタンスを崩さないことが非常に重要になります。
まとめ
復帰からの数ヶ月間は、仕事量自体は全盛期の3分の2程度であったとしても、精神的な負荷や「この先どうなってしまうのだろう」という先行きへの不安感から、非常に苦しい時期でもありました。
- 仕事ができなくて当たり前
- 体調を崩しやすいのも当たり前
- 不安に襲われるのも当たり前
そう頭では分かっていても、真面目なエンジニア気質の人ほど「もっと頑張らなければ」と自分を追い込んでしまいがちです。
私自身がうつ病を完全に寛解し、「もう二度と再発しない」と言える状態に至るまでには、ここからさらに何年もの試行錯誤が必要でした。その過程で得た気づきや、思考の癖を緩めるアプローチについては、これからも少しずつシェアしていきたいと思います。
どうか、今は焦らず、ご自身のペースを最優先に守ってくださいね。ここまでお読みいただきありがとうございました。また次回。

